バンドに無ければスッカスカ!ほぼ100%必要不可欠な「ベース」の特徴と歴史を紹介!

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バンドの構成としてベーシックなものはボーカル・ギター・ドラム・そしてベース。

ボーカルはバンドのフロントマンであり顔ですから一番目立ちますし、ギターもソロであったり楽曲内で目立つ存在。ドラムも自然と耳入ってきますしドラムプレイもダイナミックであれば目を惹きます。

しかし、ベースはいまいちその存在感に注目しなければなかなか気づくことができないという人も多いのでは?

音が派手なわけでもなければ、楽曲のなかでどういっ他役割を担いっているかも一回聴いただけではわかりにくいもの。

しかも楽器としてもギターと似ていますし、「そもそもどっちがギター?ベース?」と戸惑う人もいるでしょう。

しかしベースはバンドにとって無くてはならないもの。そんなベースの役割やら歴史について今回は紹介していきましょう。

そもそもベースってなに?

ベースとは楽曲の低音を担い、ドラムとともにバンド音楽のリズムを支える大黒柱です。

とはいえボーカルやギターに比べるとどうしても目立ちませんし、華があるともいえないのが事実。

後ろの方でずっと固定砲台のようにどっしり構えているドラムですら激しい音を乱打しますが、ベース音自体も低音パートなので地味になりがち。

しかしベースの良し悪しがバンドの良さを決めると言っても過言ではありません。なぜそれほど重要なのかといえば、楽曲のリズムや信仰を作るのはベースです。

もしベースがバンドからなくなればいかに味気なくなるかが速攻でわかることでしょう。料理で言えば、味がないから出汁なんて不要だと言ってるようなものです。目立たないからといって存在がなくなればどうなるか、それがベースです。

さらに楽曲のノリを生み出すためにもベースは不可欠。なぜどのバンドにもベースという存在があるのか、そう考えるとベースの重要性にも気づくことができるはずです。

華やかな存在だけでは成り立たないものです。それは料理の例えでもそうですし、映画でも俳優だけでは作品が成り立たないように、証明やメイク、音響など裏方がメインを支えるからこそ煌びやかに彩られるもの。

光が輝くのは闇の色濃さがあるからです。すべて光だったらただ目障りで眩しいだけのように、裏方でどっしりと音楽のリズムを低音で支えるベースはただただ必要不可欠なのです。

ベースの基本

バンドを支える大黒柱ベースですが、音域的にはドラムとギターの隙間を埋めるのが1番の役割。

つまりベースがないと実は物足りなさを感じるのですが、これはドラムとギターの間を埋めてくれるベースがゴッソリ抜け落ちているから。目立たないからといってなくなればその存在感に気づけるでしょう。

(試しに好きな楽曲でベースだけを抜いて聴くことができれば速攻で違いが分かるはずです。感覚的に表現すれば「だいぶスッカスカ」な音楽になります。というのもギターなしで成立する音楽ジャンルはいくらもでありますが、ベースなしで存在する音楽は少ないくらい、ベースというのは重要な存在なのです)

リズムはドラムが担っているように思いがち、というかたしかにドラムはリズムを担う重要なポジションですが、ドラムは叩いてリズムを司るのに対して、ベースは音程のあるリズムとしてリズムを楽曲に提供します。

(このため、ドラムとベースを総じてリズム隊といいます。ドラムは叩いて、ベースは音でリズムを作るということです)

そんなベースは弾き方にも幅があります。

ギターのようにピックといって弦を弾くチップのようなものを使うこともあれば、指を使って弾くのもベースの特徴。

ピックであればスピード感のある楽曲などに向いていたり、指弾きであれば音に暖かみや丸みが出るため一般的にベースらしいとされる音が出たりと、曲によって弾き方で差別化することもできます。

さらに見た目としても憧れられやすいのはスラップ奏法。パッと見なにやってるか分かりにくいですが様になるベース奏法です。これは分解すると弦を叩いて引っ張ることを繰り返しているのですが、華やかさのある演奏方法なので分かりやすくカッコいいですね。

ギターとの違い

そしてギターとの大きな違いといえば、弦の数です。パッと見は同じようなルックスをしていますが、明らかな違いはギターが基本6弦なのに対して、ベースは4弦という点。(弦の数が多いものものありますが基本は4本です)

どっちがギターかベースかで迷ったら、弦の数を数えてみてください。

ほかにもベースの方がギターよりも太いです。さらによく見てみれば分かることですが、ベースはギターよりも一回り大きいです。これはベースの弦が太いため、弦の張力に負けないようにギターよりも大きくかつ重い設計になっています。

ベースはどうやって生まれた?

音楽の根幹を担うともいえるベースですが、どうやって生まれたのか。現在ではエレクトリックベースいう電子楽器としてのベースが主流ですが、電化する前の低音パートは一体どんな楽器が担っていたのか。

バンドの低音を担っていた楽器のルーツを辿りながら、ベース楽器の歴史を見ていきましょう。

エレキベースが生まれるまではジャズなどで現在も用いられているウッドベース、つまり大型弦楽器のコントラバスが主流でした。

このコントラバスの先祖にあたる楽器がベースの始まりと考えられます。
それがヴィオローネです。イタリア語で「大きなヴァイオル」を意味するこの楽器は、歴史を振り返ってみるとさまざまな楽器をヴィオローねと呼んでいました。


たとえばチェロサイズのものから、現在のコントラバスよりも大きいものまでサイズもさまざま。
このコントラバスサイズのものは、弦の数はギターのように6本あれば、たった3本のものなど、弦の数もいくつもありました。

ちなみにチェロサイズのものは、ヴァイオリンに属していてテノールの音域を担当していました。

チェロよりもやや大きいものは、GヴィオローネやAヴィオローネと呼ばれて、大規模なアンサンブルではコントラバスのような役割を担っていました。

コントラバスのサイズのものは多くの楽器がヴィオローネとして含まれており、区別するのも難しいほどです。
ヴァイオリン属に似たヴィオラ・ダ・ガンバ属では最大のDヴィオローネや、4弦や5弦のウィーン・ヴィオローネなどいくつも種類があります。

これらヴァイオリン属やヴィオラ・ダ・ガンバ属は1480年頃に登場して、ルネサンスからバロック時代にかけて別々の社会階級で使用されていたといわれています。

ちなみにその用途は、ヴィオラ・ダ・ガンバ属は家庭で使われる楽器なのに対して、ヴァイオリオン属は音楽家など職業的に演奏されていました。
この時代での最大の足図はチェロサイズで、現代のチェロよりも全音が低く調律されていたそうです。

また、ヴァイオリン自体はオペラの効果音として用いられたのが初めで、後のオーケストラで使用されるようになった流れがあります。

技術革命によって進化

1660年代にはボローニャを中心として、巻弦が発明されたことで低音楽器に革命が起こります。

なぜなら、非常に長い弦を使用せずに低音の良好な響きを獲得できるようになったのです。
この頃になってチェロの調律が一般化し、ヴィオロンチェロという言葉も使用されるようになりました。

チェロはベースと同じく4弦であり、クラシック音楽における低音部を受け持つ重要な楽器です。
時代が進めばポップスやロックでも用いられるので、やはり演奏において低音部が欠かせないことは昔から変わることがありません。

とはいえチェロが現在のスタイルで確立するのは18世紀末以降の話で、まだ発展途上ともいえます。
ヴィオローネ自体は16世紀から18世紀まで長らく発展を遂げていき、18世紀にはチェロが確立し、19世紀には現在のコントラバスに近い楽器も生まれます。
ちなみに当時のコントラバスのような楽器は、馬の尻尾を使った弓を元に擦って音を出していました。

ちなみにコントラバスは、バイオリンとは異なりなで肩の形をしており、大きさは180cmから200cmと巨大です。コントラバスといえばこの大きなシルエットをイメージする人も多いでしょう。

ジャズで用いられるイメージも強いですが、オーケストラでも使用されて低い音域を担当し、楽曲に奥ゆかしさをプラスする意味ではやはりベースと同様の低音パートを支える縁の下の力持ち的な存在。
弦の数は4本か5本で、基本的にはその巨体もあって奏者は立って演奏することになります。

余談ですが、誕生当時のコントラバスは弦の数は3本から6本と多彩で、一定の数ではありませんでした。

次第に技術が洗練されていき、現在では4本のものが主流となっています。
巨体の太い弦を弓で奏でる姿はいまでの圧巻ですね。現代でも広く用いられるコントラバスですが、19世紀末にはオーケストラ以外でもジャズやブルースなどポピュラー音楽で広く演奏されていきます。


このころには弓で演奏するスタイルから、指弾きのスタイルに変わっていきました。

エレキベースの登場

そして1951年にはやっとエレキベースが誕生します。
現代でも名の知れたフェンダー社から生まれたのがエレキベースの祖です。
なぜエレキベースが生まれたかというと、この頃にロックンロールが生まれてくることが背景にあります。


ロックンロールには当時コントラバス、つまりウッドベースが使われていましたが、コントラバス以上の音量を出して、かつ低音域をカバーする楽器がないか模索されているなかで、木ではなく電気の力を使ってより大音量で低音を奏でる発想が生まれ、実現していったんです。

世界初のベースはフェンダー社のプレシジョンベースです。このプレシジョンというのは「正確」という意味があり、フレットのないウッドベースよりも簡単に音程がとれることを意味しています。フレットとはギターにもついている音程をとる基準になる印のようなものです。

そして1957年には、このプレシジョンベースに改良が加えられて今日でもなじみのあるベースのシルエットになっていきました。

のちに1960年にはエレキベースの定番ともいえる形のジャズベースが生まれて、より現代のシルエットと音程に近づいていきます。

1960年代といえば世界的ロックバンドの登場!

ビートルズやローリングストーンズがロックで世界中を虜にしていくなかで、エレキベースの使用頻度はもはや大半を占めることになります。

ロックが音楽の主流になるにつれて、ベースはウッドベースからエレキベースの主役に躍り出ることに。

ちなみに同じくロックのエレキ楽器といえばエレキギターですが、エレキギターはエレキベースよりも早く、1930年頃に誕生しています。

ベーシストが主役になる時代

1970年代になるとジャズとロックを融合させたフュージョンが登場します。このフュージョンでは今まで楽曲を陰で支える惣菜だったベースが、メロディやソロを担当する場面が出てきたことでバンドの前に出てくるようになりました。

この頃にベースの特徴的な奏法であるスラップも広まったので、エレキベースの華やかな一面が日の目を浴びることとなりました。

このため、ベースは楽曲の低音を支えるだけでなく、ベース自体に多彩な音色を求められるようになってベース楽器の幅も広がっていきました。

5弦ベースや6弦ベースなど多弦のベースが登場したり、演奏技術自体も多彩になりベースの多様性はますます広がっていくことに。

1980年代には弦楽器ではないベースも登場します。シンセベースです。

キーボード・ベースとも呼ばれるのでなんとなく想像つくかもしれませんが、鍵盤楽器のシンセサイザーでベースパートを演奏する奏法も誕生します。余談ですがスティービー・ワンダーはシンセベースの手弾きによる多重録音を好んでスタジオで音作りをしていたそうです。

ベースの在り方自体も多様になっておいき、1990年代に入るとエフェクターの使用によってそれまになかった音を生み出すこともできたりと、ベースの幅は時代を経るにつれて進化変化をしていったのです。

ベースの魅力

ベースはギターに比べて単音で発生するため、比較的技術難易度が低いともいえます。
もちろん単純にギターと比べることもできませんが、とっつきやすさとしては意外と初心者向けとも捉えられるもの。


バンド楽器に興味があるけれどギターは難しそうで抵抗があるという人は、ベースに触れてみるのも一行です。

低音を華麗に奏でる様はギターとはまた一味違った魅力がありますし、特有の楽しさがあります。