ルールなんざ無用で不要!バンドの大黒柱「ドラムス」の歴史と特徴を紐解け!

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ドラムス、ドラムセット、パーカッション。

打楽器の集合体ともいえるドラムは、バンドではリズムの大黒柱ともいえる存在です。

正確なテンポと曲にあったノリを生み出すことでバンドの音楽のグルーヴ、高揚感は増して特にライブで盛り上がりを生み出すきっかけにもなるドラム。

ただ高速で叩いていればいいわけでもなければ、ただテクニックを披露するだけでもリズムがブレていればノれる音楽は提供できないので、ドラマーへの信頼感はバンド音楽への信頼感に直結するでしょう。

そんなバンド音楽の要であるドラムですが、楽器としての歴史は意外にも浅いもの。ギターであればそのルーツは遥か紀元前から存在していました。楽器としてでなければ、そりゃもう太古から存在していたのですが、そんなドラムの歴史や特徴を今回は紹介していこうと思います。

そもそもドラムって何?

ドラムセットといえばシンバルやら大小の太鼓みたいなものが集合しているものをイメージする方がほとんどでしょう。

ドラムセットの組み合わせには決まりはないとされています。そのため、提供したい音楽によってドラムセットは奏者であるドラマーが自由に組み合わせています。

打楽器の数もシンバルの数も自在なので、バンドによってはめっちゃくちゃ多いシンバルやら太鼓が並べられている光景を目にしたこともあるかと思います。(そんなに使うのかってくらい並べられてる場合もありますね。)

一応ですが、ベースとなるポピュラーなドラムセットというものはあります。この組み合わせがよくイメージされるドラムセットでもあるので紹介しましょう。

ベースとなる3点といわれるスネアドラム、ハイハットシンバル、バスドラム。

スネアドラム

小さな太鼓です。主にバンドのリズムパターンにアクセントを付けるために利用されます。

また、ドラムの基本リズムである8ビートを生み出す主軸の役割があり、ドラムセットで最も叩く回数が多いです。

ハイハットシンバル

ハイハットとも呼ばれる、2枚のシンバルを上下に組み合わせたものです。

8ビートや16ビートなど、ビートを刻みに使用されるので叩かれる回数の多いシンバルです。

ハイハットシンバルはハイハットペダルを踏むことでも鳴らすことができます。

リズムを刻むハイハットもバンド音楽で必須の存在といえます。

バスドラム

最も大きな太鼓で、足元にあるペダルを踏んで音を鳴らします。

太鼓時代がドラムセットの中で最大で、最も低い音が鳴ります。

この低音を活かしてリズムのノリを作り出すため、バンド演奏に必須。

ちなみにバスドラムは足元にあるため、スティックで叩きつけることはありません。そこで利用するのがキックペダル。

ドラムは手足を使う楽器です。その理由がキックペダルでバスドラムを叩くことにあります。

楽曲をさらに彩るパーカッション

これら3点がドラムの基礎ともいえる部分です。

そこに大小の太鼓やらシンバルを足していくと基本的なドラムセットになります。

基本的には両サイドにクラッシュシンバルやライドシンバル、大小のタムとフロアタムという構成が基本になります。

ライドシンバル

シンバルの中でも最も大きく分厚いです。

シンバルの表面であるボウ部をドラムスティックの先端で叩いてリズムを作ります。そのため、ハイハットと似たような役割があります。

ハイハットとの違いは、巨大なシンバルを活かしてより金っぽい音を生み出せるので、楽曲に奥行きや広がりを演出することができる点です。

クラッシュシンバル

その名の通りクラッシュ、破壊的な音が鳴るのが特徴です。このクラッシュ音は耳に残るので、楽曲の中でもこの音が印象的な場合は多いでしょう。そのため、楽曲でアクセントをつけるために大いに利用されます。サウンドにさあrに奥行きや臨場感を持たせるために、2枚以上セッティングされることもあります。

ドラマーから見て左奥にセットされ、サイドシンバルとも呼ばれます。

ハイタム

タムタムセットの一つ。ハイタムとロータムでタムタムと呼ばれ、ドラマーから見て左側に基本的に設置されるのがハイタムです。

右側に設置されるロータムより一回り小さい音が鳴り、フィル員で用いられることが多いです。

フィルインはドラマーが楽曲のリズムの隙間に独自にドラムセットを叩いて生み出される即興演奏の部分で、楽曲に変化をもたらすものでドラマーの個性が表れる演奏でもあります。

ドラムセットに様々な打楽器が用意されてるのは、このフィルインを演奏するためでもあります。

ロータム

ハイタムの隣、ドラマーから見て右側に基本的に設置されるタムです。ハイタムよりも一回り大きく低い音が鳴りますが、このハイタムとロータムのセットは基本的な設置であり、別に決まりはありません。

そのため、タムを一つしか使わないドラマーもいます。その場合にはロータムを外されることもあるのです。

通常使用される場合は、やはりフィルインで曲をメロディックかつ変化をつけたい場合に利用されます。

フロアタム

タムタムよりも二回り大きい、巨大なタムです。フロアの名の通り床にセットされており、フィルインで用いられたり、ハイハットやライドシンバルで刻むようにリズムを生み出す場合にも使われます。

ちなみにタム回しと言って、タムそれぞれを使って演奏する場合にも使われます。タムをぐるっと回るようにスティックで叩く様はダイナミックかつエネルギッシュかつスタイリッシュで様になる光景です。

このように、シンバルと太鼓の組み合わせで構成されるのがドラムセットといえます。そのため、打楽器だけを組み合わせたボンゴやコンガなどはドラムセットとは呼ばず別の楽器というくくりになります。

ドラムのバンド内での役割

ベースとともバンド音楽のリズムを作り出し、曲の展開をリードする役割がドラムにはあります。

また、曲中でリズムの切れ目が発生したさい、フィルインといってドラム特有のフレーズを挟み込むことによって曲のリズムを一時的に変えて楽曲の雰囲気を変えることもできます。

このフィルインは、効果的に挟み込むことで曲を立体的にすることができるため、楽曲を視聴している人々により期待感やワクワクする感情を想起させることができます。

ドラムは打楽器の集合体であり、ダイナミックな音を発生させることができます。

ギターやピアノのように楽器単体で一曲を奏でることは難しいですが、補助としてダイナミクス生み出せるドラムはバンド内で唯一無二の存在。

ダイナミクス、つまり音の強弱には2つの意味があります。

1つ目は強弱そのもので、楽曲にメリハリをつけるということ。

派手なドラミングで常に激しく叩くプレイももちろんいいですが、曲中で小さく音を抑えることで、より盛り上がるポイントで派手に楽曲を彩ることもできるのがドラムにおけるダイナミクス。

ドラムを叩きつける姿そのものが楽曲の雰囲気を作り上げる

もう1つは、バンドでどんな音量を提供したいのか。この音量を上げるにはドラムはかけがえのない存在。

ギターやベース、ボーカルは音量をアンプやエフェクターなど付属の電子機器の調整で上げることができますが、ドラムが音量を上げるには打楽器それぞれを強く叩きつける必要があります。

この叩きつけることで音量が調整できるというのは当然ですが、ドラムの場合このドラムを叩く姿そのものがバンドの音の印象をつくりだします。

つまり派手なドラムプレイであれば見た目で音量を表現することができます。

バンド音楽は単に音のボリュームで楽曲の音色は決まりません。どういうプレイ、どんなファッション、どんなメッセージ性か、つまり音を含めたあらゆる総体表現で楽曲のイメージは聴衆に伝わります。

ドラムの派手なプレイはそれだけで楽曲の印象を際立たせ、決めると言っても過言ではありません。強く激しく暴力的にドラムセットを叩きつける様はハードな音楽に不可欠ですし、ひっそりと深く沈み込むように染み入るような楽興ではコンパクトなドラムプレイそのものが楽曲の一部となるのです。

このようにドラムは、場を仕切る存在感があり、また場を仕切る役割そのものを担っています。

楽曲のリズムを作るという意味でもですし、雰囲気作りでも中心的な役割があるドラムは、ギターやベース、ボーカルのように動き回ることができず固定砲台のようにその場でどっしりと佇んでいるところにも表れているでしょう。

バンドの大黒柱、それがドラムの表現として適していますね。

ドラムの発祥は自身の身体?

ではこれら叩いて音を鳴らすドラムですが、ある意味楽器としてはとてもシンプルなものです。

ギターのように弦を用意する必要もなければ、ピアノのように鍵盤を使う必要もありません。

とにかく叩いて音がなればドラムの基礎ができているようなものです。

というわけで最初の打楽器は何だったかを考えるとシンプルなルーツが見えてきます。人類が最も身近にあるもので叩けるものといえば、自身です。

つまり自分の身体を叩けば音は鳴ります。ヒザでもいいですしお腹でもいいですし腕でもいい。叩いて音がなればそれは音です。

人類が何かを叩いて感情を表現するようになったのは、なんと原子時代といわれています。

身体を叩いたり飛び跳ねて大地を踏み鳴らしたことが始まりと考えられており、これら音を鳴らし感情を表現する行為は、音楽のルーツとしても非常に重要です。

そして大地を踏み鳴らすという行為は、身体を躍動させるため舞踏、つまりダンスのルーツとしても非常に重要な現象でしょう。

このように身体や物を使って、感情を動きや音で表現するというのは人類史でも重要なことであり、音楽史を紐解くためにも欠かせません。

なぜなら音を金出るという行為は、音楽を生み出しただけではなく、人々が心を通わす手段としても用いられていたのです。これは遠方の人と交信するための手段や、宗教儀式として神聖な事柄を表現するためにも、音を生み出して心を動かすということは人類の進化においても重要とさえみてとれます、

このため、打楽器という音の基本ともいえる行為であり楽器は、様々な目的のため様々な用途のために工夫と改良を加えられて発達していったのです。

ドラムセットとしての歴史は非常に浅い!?

が、です。

有史以前の人類史におもいっきり関わってる打楽器なのに、ドラムセットの歴史というのは非常に古いです。

紀元前どころか原子時代から人類が身体をパンパン叩いてたってのに、ドラムセットというもの自体は先ほど紹介したものがわずか100年の歴史すらも歩んでいないのです。

ちなみにですが、打楽器単体であればそれぞれに数百年の歴史があります。ドラムの歴史を紐解くためには、ドラムセットの歴史だけではなく、打楽器としての歴史や、ドラムセットを構成しているそれぞれの楽器の歴史を一つずつみていくのがいいでしょう。

バスドラムやスネアドラムなど、単体での存在はそれ以前からありましたが、複数のドラムを使って演奏するアイデア自体は1860年代に生まれたといわれています。

元々は軍隊で号令用に使われていたバスドラムやスネアドラムが、アメリカの南北戦争の終結後には民間に出回るようになりました。

(戦争で使われていたものが平和の象徴のごとき民間で出回るのは、ミリタリーファッションと通じるところがあって感慨深いです。)

これら軍物が民間に降りてきて、これらの楽器を使ってマーチングバンドやブラスバンドが結成されたりする中で、当時流行していたラグタイムという黒人ピアノ奏者によって始められたジャズの一要素にもといえる音楽スタイルに使われたドラム。ジャズといえばドラム!

そして幅広い演奏スタイルが生まれるなか、1人で複数のドラムを使って演奏するプレイヤーが生まれたのです。この複数のドラムを演奏することどダブルドラミングといって、当時はスティックのみを使用して足を使った演奏はありませんでした。

(現在バスドラムを叩いて使っているフットペダルの発想自体はあったようですが、まだ一般には広がっていなかったのです)

しかし、そのうち複数のドラムをスティックで演奏しながら、足を使ってバスドラムを演奏する奏者も現れました。幅広い演奏スタイルが生まれる中で、四肢を使う演奏が生まれるのは時間の問題だったのでしょう。

ちなみにこの初の四肢を使ったドラムプレイは、複数人数分のギャラが欲しくて1人で演奏したから生まれたのだとか。演奏の幅広さじゃなくて金のために生まれたというのもなんかいいですね!個人的にですが!

当時は打楽器それぞれに奏者が必要だったため、欲張って全部1人でやればいいじゃんという発想で演奏したというのもなにか人間らしさを感じて素敵です。

また、打楽器の演者に欠員が出て仕方なく演奏したというパターンもあったそうですが、この多彩な演奏法は瞬く間に聴衆の話題となって人気になったといいます。

人間の欲望やら事情やらで文化が発展するというのも魅力の一つといえるのではないでしょうか。