世界的名女優と連続殺人鬼のハイブリッド!?「マリリン・マンソン」とは何者か

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「マリリン・マンソン」

コープスメイクという屍人をイメージした白塗りの大胆かつ派手派手なメイクに、男性だか女性だか分からない教育的に問題しかなさそうなセクシーな衣装に身を包んで激しい音楽を奏でるアーティストです。

この時点でわりと嫌な予感しかしない素敵なミュージシャンですが、彼のアーティスト名の由来を聞いても納得のいく危険なオーラ。

「マリリン」とはマリリン・モンローからとったといいます。映画市場でも偉大な女優と謳われる金髪美女の代名詞、世界的に有名なのでだれもが耳にしたことがある名前だと思います。

では「マンソン」の方はというと、「チャールズ・マンソン」からとっています。「誰?」と思った方に説明しますと、アメリカを震撼させた連続殺人鬼の名前です。もう一度言います。連続殺人鬼の名前です。

なんと「マリリン・マンソン」という名前は、稀代の名女優と余裕で終身刑の殺人鬼をミックスさせて出来上がったネームということになります。

今回はそんなぶっ壊れた彼の紹介をしていきましょう!

マリリン・マンソンとは?

冒頭の説明でだいたいどういう音楽やってそうか想像ついた聡明な方もバンバンいらっしゃるでしょうが、

まあハードロックやらインダストリアル・メタル、オルタナティブ・ロックなど激しいカテゴライズをされる音楽性が特徴的です。

とはいえ、聞くに絶えないけたたましくやかましい音楽やってるわけではなく、ポップで大衆に受け入れられる要素もかなり含んでいるので、意外にも触れやすい音楽でもあります。(まあ叫ぶように歌うのので好き嫌いはもちろんあると思いますが)

世間から浮きまくったようなルックスをしながら、わりかし影響を受けたアーティストも著名な人が並んでいます。

キッスやデヴィットボウイ、ビートルズ、クイーン、ドアーズなど世界的なアーティストの影響はばっちり受けているようで、けっして暴力的な音楽だけが彼のルーツになっていません。

幅広い音楽に触れたことで彼の中で独特の価値観が芽生えて、メイクなり歌詞なりパフォーマンスにも表現として形になっているのでしょう。

とはいえ彼の歌詞やライブパフォーマンスはお世辞にも上品とはいえません。大規模な仕掛けを施したファンタジックなショーともいえるライブは圧巻ですが、どこかしら反社会的・暴力的な要素を含んでいます。

紋章入りの真っ赤なれ幕と黒焦げになたった星条旗を掲げて、ナチス・ドイツを連想させるパフォーマンスで壇上で叫びながら歌うなど、全方位に喧嘩を売るようなスタイルは当然のようにメディアやらマスコミやら各種団体から非難轟々。

さらにはライブの演出の一環で聖書を盛大に破り捨てるということをしでかすものなので、キリスト教会も敵に回している徹底っぷり。

挙げ句の果てには会場に豚の地を撒くといった演出を通り越したようなこともやるので、やっぱりまともな人ではないといった感じは随所から察することができます。

ちなみに観客の上空にパフォーマンスで移動した際は、風邪を引いていたので鼻水をわざと下にいる客に振り撒いたそうです。最悪ですね。

マリリン・マンソンの生い立ち

すべてに喧嘩を売るようなスタイルが目につきまくっていますが、どうしてこんな風になってしまったんだというのも気になるところ。

そのヒントというか答えは彼の育ち方にあるようです。

1969年1月5日にアメリカはオハイオ州のカントンに生まれた、本名ブライアン・ヒュー・ワーナー。

こんなぶっ飛んだ彼の両親は一体なにをしたいたかというと、父親はカトリック教徒で、母親は米国聖公会というキリスト教の一派の信者でした。

思いっきりキリスト教の信仰が深い家庭に育っているというのが意外な話ですが、このどっぷりキリシタンな家系が彼の人生を決定づけるようなものでした。

当たり前のようにこの両親はカトリックの私立中学に彼を入学させて、やれ世界の終末戦争の話ややれ神であり人間であるキリスト様の話をウンザリを通り越して英才教育された彼は、本気の本気でキリスト教に嫌悪感を示すようになりました。

学校で使用していたノートには「こんな生活は嫌だ」と何度も何度も書いては、それを両親や教師に見られて何度も何度も殴られたといいます。嫌な予感しかしない経験をしていますね!

そして嫌な予感を見事に的中し、当たり前のようにグレます。タバコから始まり麻薬にも手を出し、さらにタトゥーもバッチリ掘り出すという不良の鑑のようなスタートダッシュを切った結果、見事に退学処分をくらって自由の身に。

この経験がきっかけで聖書を破り捨てたり、歌詞に反キリストを連想させる言葉を並べたりといった原因になっています。そりゃなりますね。

周囲の異常な人間環境

教育環境が彼に合ってなくて人間性がひん曲がっていったマリリン・マンソンですが、彼の周囲の環境も彼を独自形成するに充分な特異な状況だったのです。

隣人は服を脱がせて囚人ゲームを楽しむのが趣味の変人、変態ポルノを見せつけてくる年上の親戚、さらに父親はベトナム戦争で秘密部隊に所属していたため多数の一般市民を殺害しており、祖父は地下室に異常なマスターベーション用の部屋を設けていたというので、家系的にちょっと独特な性質を有していたようにも思えます。

(隣人の変態っぷりは偶然だと思いますが。もしくは住んでいた地域もあまり恵まれた環境ではなかったため、風変わりな人間が集まりやすいという理由もあったのかもしれませんが)

ちなみにこれらの変態的なエリート教育環境が整っていたおかげで、ボンテージファッションが嫌いになったそうです。本人がライブパフォーマンスでそういった格好をしていたような気がしますが、それは嫌悪からくる皮肉みたいなものでしょうか。

ちなみにこれら辛い経験から逃げ出す先として、ロックに出会ったといいます。音楽は精神的な迫害から逃れて救ってくれる唯一の癒しだったというわけです。

それから大学でバンドを結成していき、音楽雑誌で記事を書くなどして音楽のキャリアを積んでいくことになります。

反キリスト体制の象徴と称されるアーティスト

先ほど述べたように彼はキリスト教に対して並々ならぬ嫌悪感があります。

実際に彼に対する抗議集会は当然のように開かれおり、特にキリスト教徒からの誹謗は目立っていると言います。

それもそのはずで、彼の特徴的なルックスにも反キリストの思想は反映されているとも見て取れるのです。

彼のメイクは白塗りに黒いメイクを施した屍人を連想させる恐ろしげな風貌で、かつ黒を基調した服装や悪魔を連想させるライブ衣装、演出など、どことなく地獄やデビル、サタンなどを連想させる闇を彷彿とさせるものが多いです。

それは見た目やパフォーマンスだけでなく、歌詞でも反映されており、「ディスポーザブル・ティーンズ」という楽曲の一説では「俺は本当の神を憎んだことは一度もないが、人々が信じる神は大嫌いだ」と歌っているのも分かりやすい例です。

これは悪魔的なイメージ、つまりキリスト教に反発するイメージがつきまとっていることになります。反キリストであったり悪魔的な要素を取り入れるアーティストは数多くいますが、ここまで徹底して反キリストを連想させるアーティストというのもなかなかのもの。

というより、彼ほど徹底して悪魔的地獄的な表現をライブパフォーマンスに昇華してエンターテインメントに魅せることができたゆえ、後のアーティストにも影響を与えたとみるのが自然かもしれません。

それほどまでに彼の反キリスト体制は露骨なのです。そして彼が表現者として優れた才能を持っているというのも、多数のアーティストに魅力として映り影響を与えたということにもなるでしょう。

マリリン・マンソンの芸術活動

彼はミュージシャンとしての活動も精力的に行なっていますが、ほかにも様々な芸術活動をおこなっています。

彼は1999年からは水彩画を描いており、展示会も公に行なっているという画家の一面も持っています。アメリカのみならず、フランスのパリやドイツのベルリンなど世界的に行われています。

ちなみに展示作品や、大きな3つの頭のキリストを題材にしていたり、展示会のタイトルに「グロテスク」という単語が入っていたりと、彼らしい表現をしているようです。

心の闇をどうにか表現しようという試み自体は常に行なっているようで、映画監督や俳優にも挑戦したりと多方面の動きを見せている彼。

しかし、それは不安定な心を常に抱えているという証明でもあるかのように、様々な事件を起こしている張本人でもあります。

数々の暴力事件や荒れた私生活

彼は暴力事件をたびたび起こしています。

たとえばコンサートの警備員を務めていた人物がマリリン・マンソンに暴行を受けたとして民事訴訟を起こしていたり、ほかにも別の警備員に性的不品行を働いたとして告発されています。

また、以前交際していた女性からは性的虐待を受けたとして告発を受けており、ほかにも複数の女性が性的虐待の被害者だと声を上げました。そのせいで彼は所属レーベルから契約を打ち切られています。

訴訟を受けても勝訴したパターンもあり、すべてが事実かどうかは不明ですが、彼が他人に暴力を働いたことがない、とは決して言い切れないエピソードも数々あるのです。

それは彼がパフォーマンスや表現で反社会的なことをしているだけではなく、彼自身が実際に事を起こしているということでもあるのではないでしょうか。

心に内在する闇は常にあり、それが彼を苦しめ、その苦しみが他人を傷つける結果を招いていても正直不思議ではありません。

私生活絵でも複数の結婚や交際経験があり、破局理由もマリリン・マンソンのアルコール依存症であったり不倫など、平穏な生活とは言えないエピソードに事欠きません。

悲惨な事件の原因といわれがちなアーティスト

ライブパフォーマンスや楽曲だけでなく、私生活も荒れ気味な彼だからか、彼の抗議集会が開かれるころも珍しくありませんそして出席者から「恐怖」「憎悪」、「自殺」「死」を広める悪質なものだといって反対する声も多く、中には極端に偏って彼を悪の象徴だと主張する声もあるほどです。

事実無根な批判も多いですが、それだけ彼が悪や死といったものをイメージしやすいアイコンである証明でもあります。

そのため、悲惨な事件が起こるたびに、マリリン・マンソンの存在が原因だと言われがちでした。

たとえば1999年4月20日に起こった銃乱射事件。アメリカはコロラド州ジェファーソン郡のコロンバイン高校に、同校に通う学生2人が銃を持って乱入し、ました。

その結果、生徒12人と教師1人を射殺した末に、彼らは自殺します。

これが世界を震撼させたコロンバイン高校銃乱射事件といわれる痛ましい事件です。

このとき、メディアでは犯人の2人はマンソンの影響を受けてこの凶行に走ったと当たり前のように報道されていました。

マリリン・マンソンが直接的な原因になったかどうかは分かりません。むしろ極端な解釈をされてマリリン・マンソンのせいに都合よくしていることもあるでしょう。(ほかにも暴力的なゲームが彼らに悪影響を与えたとも言われるので、こういった事例はよくあることともいえます。)

しかし、マリリン・マンソン自体はこのような事件を誘発したいわけでもありませんし、彼自身こういったことを言われるのは不服なようです。実際に彼はインタビューでもこう語っています。

「俺自身が糾弾される理由は分かるさ。俺を犯人にすっればマスコミにとって都合がいいからな」

「俺が表現してるのは恐怖だ。そのことで誰にも遠慮はしてないよ」

そして「コロンバインの乱射事件をしでかした犯人になにか言いたいことは?」と聞かれて、こうも答えています。

「なにもない。ただ黙って彼らの言いたいことを聞く。だれ1人として、それをやらなかった」

彼が恐怖を表現する理由

彼は闇を抱えている人間を凶行に走らせるどころか、むしろ闇を持っている人間に対して親身なのではないかとも思える一言です。

ほかにも、こんなエピソードがあります。彼が原因で自殺したのではないかと思う娘を持つ母親が、マリリン・マンソンの楽屋に詰め寄って叫び散らしたといいます。そのとき、彼はその母親を何も言わずに抱きしめたという逸話があるのです。

彼は恐怖を表現する人物であることに変わりありませんし間違いはないでしょう。実際に彼自身がそう話しているのですから。

しかし、それは恐怖を誘発し、他人を死に追いやらせたいという思いで活動しているわけではないのではないでしょうか。

彼自身が実の両親に理解されず、辛い環境に追いやられて辛い思いをした幼少期があるため、だれにも救ってもらえない絶望の最中で音楽に出会って救われたのだとしたら。

彼のように苦しみや孤独、絶望を味わう若者や人々のよりどころとなるために、彼自身が音楽をつくるアーティストとして存在しているのではないでしょうか。それを彼自身も望んでいるだとすれば。

心の中の闇をどうにか表現しようという姿勢があるあたり、彼なりに更生というかよくなりたいという気持ちがあるのかもしれません。

現に長年の薬物中毒だった彼は、薬物を断とうと努力して、その反動で激太りしたりと懸命な姿勢も見せています。(太った姿はなかなかにインパクトがあるルックスでしたが)

恐怖を表現する楽曲紹介

最後に彼の闇や恐怖をカッコよくイカした表現に昇華した楽曲を紹介しましょう。

ビジュアルも圧巻ですが聴きやすいカッコいい楽曲は視聴の価値ありですよ!

彼の楽曲にポップさが含まれているのは、絶望に向かっていない証明なのかもしれません。

Rock Is Dead

Fight song

This is new shit 

Beautiful people

Disposable Teens

mOBSCENE