芸術的過ぎるファッションセンスやら生い立ちの過酷さが際立ち、音楽性だけでなく女優業や社会貢献活動も注目される多彩なアーティスト、レディー・ガガ。
もちろん本名ではないですが、彼女の存在は多様性にあふれており、その下地となっている幼少期の経験や下積み時代のキャリアもかなりアップダウンが激しいのも気になる理由でしょう。
彼女にとっては辛い時期があったゆえに、現在は史上最も売れたアーティストの1人として歴史にを刻むに至った芸術家の生い立ちを、今回は紹介していきましょう。
レディー・ガガとは?
ステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタことレディ・ガガは、1986年3月28日にニューヨーク州ヨンカーズで生まれました。
イタリア系アメリカ人で家は金持ちということで、令嬢らしく大切に育てられたステファニーことレディ・ガガ。しかし箱入り娘として世俗と隔絶された生活を送ったことが、彼女の幼少期の人間関係に影響を与えることになったのかもしれません。
金持ちのルーレットを当てた生まれですが、育てられ方というルーレットも発生するあたり、子供は親を選べないものです。とはいえインターネット事業の実業家の家に生まれている時点でかなり幸運な気はしますが。
お金持ちエピソードとして、彼女が入学した聖心女子学園が挙げられます。ここはヒルトン姉妹も在籍していたいわゆるお嬢様学校であり、まあ金持ちの令嬢ばかりが通う学校だったので、レディ・ガガの家も金持ったてたということが分かる履歴ですね。
個性豊か過ぎていじめの対象に
しかし、レディ・ガガの家はたしかに裕福であることに変わりはなかったのですが、一代で財を築いたため、周囲の伝統的な富豪令嬢とはズレがあったのです。金持ってりゃいいというわけではないのが、金持ってる人間同士の間柄でも発生するのが生々しい。富裕層のなかでもカーストが存在することを匂わせる話ですねこれ。
しかも彼女はイタリア系アメリカ人。イタリア系とは白人のなかでも、歴史的背景から差別を受ける立場にあり、昔のアメリカ映画などではイタリア系の人種をバカにするシーンも散見していたほど。
これだけでも周囲から浮いた存在として要素が揃ってるのですが、さらに彼女自身の個性豊かなキャラクターも目がつけられる要因と相成りました。
そのユニークさが彼女の芸術性の源泉でしょうが、かなり芝居がかった話し方をしたりと、割と濃いキャラクターだったのです。自身でもイギリスの大手新聞ガーディアンのインタビューで、「エキセントリックでおしゃべりで大胆でドラマチックだからいじめられていた」と語っています。
自覚あるぐらいぶっ飛んだ性格していたのだから、かなり目立った存在だったのでしょう。ある意味周囲から浮くのは必然だったといえるのでしょうが、ゆえにハブりの対象になったのです。
そのいじめはかなりエゲツないもので、学校のロッカーに悪口だの侮蔑の言葉を落書きされるのは序の口で、廊下で囲まれて売女呼ばわりされたり、挙句には富豪の令嬢様とつるんでいた男子に道のゴミ箱に投げ込まれたこともあるというストレートにヒドイことをかまされていたレディ・ガガ。
金持ってるんだから心にも余裕持てよと憤りますが、富豪の育て方がモロに出ているのは興味深いですね。とはいえ現在では令嬢様たちとは比較にならない富と名声を得ることになったレディ・ガガの存在を、陰湿通り越した底辺御令嬢様たちは一体どのように思っているのでしょう。
スターとなるエネルギー源に
ちなみに彼女自身これらの体験は非常に悔しかったため(そりゃそうだろ)、現在のキャリアに通じるスーパーエネルギー源となったといいます。
ガーディアン誌でのインタビューではこのように語っています。
「違いをもたらしたい。かわいい格好でステージに立って、これまでと同じようなものを歌うなんてことしたくない。それよりJudasみたいな曲を作って、裏切りや許し、理解されないことについて話したい」
彼女は当時の自身を無力だったと言っていますが、無力な人間が苦痛をエネルギーに変換できることはないので、むしろ力ありあまっています。
とはいえ、直接的に反撃するような力はなく、男子にゴミ箱にぶち込まれてクソお嬢様方に嘲笑されているとき、レディ・ガガ自身も笑ってごまかすしかできなかったので、反撃するタイプの力は持っていなかったのかもしれません。
いじめの主犯格を公園の噴水前に呼び出してタイマンでボコボコにして次の日からカースト大逆転して全員をパシリにするような力があれば、現在のような芸術性を発揮できてなかったことでしょう。ギャングのリーダーにはなれてたかもしれませんが。
茶化すような話ではないのですが、彼女がエネルギーを簡単に外に放出できず、内なるエネルギーを溜めまくるアーティスティックな気質だったことは、芸術性を磨く根源となっていたことは想像できます。
アーティストの感性が爆発
いろんな意味で個性的な気質は後のキャリアで超絶大爆発することになりますが、その感性はどうやって培われたのでしょうか。
レディ・ガガは4歳からピアノの練習を始めており、父の影響でスティーヴィー・ワンダーの曲など練習しつつ、有名アーティストを手がけたという先生から英才教育を受けてピアノの腕はめきめき上達していったようです。
そしてニューヨークにあるジュリアード学院の音楽部門に合格したのですが、彼女自身は当時音楽にあまり関心がなかったため入学しませんでした。当時はあんまり音楽に興味がなかったことは意外ですね。
しかし人間関係のうまくいかなさっぷりもモロ影響して、14歳からクラブに出入りしていたレディ・ガガ。いい感じで別ルートに向かう兆しが見えています。彼女からしたらぜんぜん心境的にいいことないでしょうが。
それからは17歳でニューヨーク大学の芸術学部に進学します。このとき世界で20人だけ早期入学が可能だったということで、彼女の持つセンスは当時から健在だったのでしょう。ニューヨーク大学で本格的に音楽を学んでいきます。
このころかなり熱心に勉強していたので、当時の大学のクラスメイトから見ても勉強やらライブなど、努力している姿が印象的だったといいます。
作詞や作曲技術を身につけていき、一生懸命にやっていた彼女ですが、芸術学部ですら彼女は浮いた存在となっていきます。
自由の国ですら不自由な扱い
当時から勉学に励むだけでなく、個性を追求して目立つ格好をしていたというレディ・ガガ。そんな彼女を見て、「だれもあんたのことなんて見ていない」だの「レズ?」だのボロカスに言われていたのです。
自由の国アメリカの芸術学部で個性を追求していて外野からギャーギャー言われるってある意味すごいですね。それだけ彼女の存在感だのセンスが抜きん出ていた証拠でもあるようにも思えますが。
ですがこの外野のうるささがだいぶストレスだったため学校を1年で退学して、その反動で薬物中毒に陥ってしまいました。
とはいえここで終わるわけはなく、ブリトニー・スピアーズやビヨンセなど輝かしいアーティストの姿を目の当たりにして、自身のスターになる夢を思い出し、根性と気合で薬物を捨て去って本格的にアーティストの道へと進んでいきます。
いろいろとエナジーがすごいですね。素晴らしい。
才人と凡人の相容れぬ生物的関係
ちなみに彼女がいじめ食らったのは、ナイトクラブで派手にパフォーマンスをやってたこともあっての奇抜なファッションもですが、彼女は成績もトップだったためターゲットになったのです。終わってるがな周りが。
ここで余談を。ウィリアム・ j・サイディズという人物は、6歳で7ヶ国語を習得し、7歳でハーバード大学医学部の解剖学の試験に合格し、8歳でMITの入学試験にも受かったという超絶大天才がいます。
ハーバード大学に9歳で入ろうとしたら、入学レベルの学力は学校側も認めたものの、あまりに若過ぎて入学させてもらえず、仕方なくハーバード大学に11歳で入学しました。(!?!?!?!?)
で、入学した直後に数学クラブで高等数学の講義をやったものならあまりに凄くで学内、どころか全米中で注目され、偉大な数学者になることを期待されたという、マンガや映画でもこんなやり過ぎの設定やったら笑えるのに実在するのかよと驚嘆するような人物っぷり。
そのあまりに凄すぎる神様からのギフトを授かった結果、彼はハーバード大学の学生から(もう一回言いますがハーバード大学の学生からです!)嫉妬されて陰湿な嫌がらせのターゲットになるいう状況に陥りました。
世界トップレベルの学校で学生やってる奴らですら嫉妬だのやっかみだのいじめだの発生するとは!なんとも人間らしい!!
と、レディ・ガガの学生時代を辿っていると思った次第。それほどレディ・ガガの才能は良くも悪くも周知の事実だったということでしょう。
そんな暇あるなら芸大で練習しろよ展示会行けよ作品作れよ。その努力ができない凡夫ゆえにやっかむんですけどねーはーい。
有能ゆえの排斥ターゲット
一応いじめのメカニズム的な話をすると、自然界の動物でも浮いた存在を排除するというのは遺伝子にプログラムされてることなので、ハブらせたり集団でリンチするというのは本能的っちゃあ本能的な行動です。
(こんなこと言うのもアレですが、虐待ですら生物的に本能に忠実かつ自然な行動ですからね。)
一般的なレベルの生物として当然の排斥行動なため、才能のあるレディ・ガガが集団から外されたのは自然の摂理でしょう。平凡な人間に受け入れられるような才能ではないのは、それからのキャリアが世界に示すのですから。
ただし、生物は優れた突然変異種によって環境の急激な変化に耐え抜き、変化を遂げられなかった生物は全滅するという変遷を辿ってきました。
レディ・ガガはまさにスーパー突然変異体ともいえる存在。彼女が世界から賞賛を浴びる理由は、優れた突然変異体であり、あまりに優れているゆえに通常個体の集団から外されたというわけで、生物にとっては通常の対応。
優秀過ぎる存在は平均的な存在の集合体の均衡を崩してしまうゆえに、存在するだけで不安と恐怖の対象となるもの。自らと同じレベルの人間がそばにいてほしいのが、生物としての自然な感情と対応であり、その自然さゆえに才人は孤独というのがまたユニークです。
最大の理解者である母親という存在
凡人の凡人による非常に人間らしさ豊かな地獄から生還するきっかけになったのは、女性スターたちの活躍もしかり、母親の影響からだったといいます。
レディ・ガガ自身は心に大ダメージを負っていることを両親に知られたくないと思っていましたが、娘のことを理解していたレディ・ガガのおっかさん。
彼女はレディ・ガガの個性をだれよりも尊重し、その個性を発揮するように応援したのです。自身のユニークさや奇抜さをカスほど貶され倒したレディ・ガガにとって、無条件で受け入れてくれる母の存在は大き過ぎたでしょう。というかお母さんいなけりゃかなりヤバかったはずです。マジで。
事実、レディ・ガガ・マザーの力もあってドラッグを自力で辞めて音楽の道へ再び進めたので、レディ・ガガがあるのは母親があったからこそでしょう。母体になったという意味でもそりゃもちろんですし。
ちなみにレディ・ガガといえばスーパーファッションでも話題をかっさらい続けましたが、ファッションセンスではじめに影響を受けたのは名だたるスーパースターやトップモデルではなく、母親だったのです。
お母様自身がアーティスティックな感性に明るい人だったからこそ、レディ・ガガの芸術性は磨かれ養われたのでしょう。というか遺伝子に組み込まれていたのでしょう。
母はとにかくレディ・ガガがウキウキするようなコーディネートをたくさんしれくれたのです。ド派手なレギンスにオーバーサイズのTシャツを合わせたり、ライトで光り輝くサンバイザーをつけてローラースケートを滑らせるなど、奇抜さのセンスをガガマザーが有していたのが如実に表れていますね。素晴らしい。
あとはナイトクラブで歌うという経験も、母親によってもたらされました。14歳から人前で歌うようになったのは、個性は他人に見られて磨かれるという母親の哲学から生まれたものであり、やはりレディ・ガガの人となりを形成する上で母の存在が凄まじく大きいことが伺えます。
そりゃ彼女の個性的なアイデンティティを全面的に受け入れてくれるだけはありますね。
偶然から生まれたステージネーム
音楽の道へと突き進み始めたレディ・ガガは、19歳のときにデフ・ジャム・レコーディングスと契約をするに至ります。
そしてここで彼女のキャッチーなステージネームが生まれます。そもそもどうしてステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタがレディ・ガガという微塵も関連性のない名前となったのか不思議ですが、これはクイーンのレディオ・ガガという楽曲が関係しています。
彼女はレーベルと契約したとき、音楽プロデューサーがレディオ・ガガの歌声を聴いて、フレディ・マーキュリーのようだと言ったのです。それからスタジオに彼女がくるたびにレディオ・ガガをプロデューサーが声に出して歌っていました。
そして、あるときそのプロデューサーがレディ・ガガあてに送ったメールに、RADIO GA GAという文字を書いたのですが、これが文字の自動修正機能で変換されてLady Ga Gaになったのです。
そんな生まれ方だったのか!!
ミスタイプから生まれた名前ですが、彼女は大層この言葉を気に入り、2度と自分のことをステファニーと呼ばないように言いました。
彼女の直感にブッ刺さるだけの言葉の生まれ方がユニークでいいですね。ただのミスタイプというだけでなく、レディ・ガガがスタジオにくるたびに挨拶がわりにプロデューサーが口ずさんでいたレディオガガのタイトルが変化してのネーミングなので、彼女のパーソナルな声ともリンクしていて物語性のある名前だと思います。
キャリアの下積み
彼女はレーベルと契約したと同時に、別のキャリアでも活動していたレディ・ガガ。
それがストリッパーです。なんで?
ストリップクラブでの活動はわりかし過激で、ヘアスプレイに火をつけて乱痴気騒ぎで踊りまくっていたというレディ・ガガ。10代からナイトクラブに出入りしてパフォーマンスもやっていた彼女ですし、また独特な感性や個性を表現するにはむしろ適していたということではないでしょうか。
実際に、セクシーダンスが売りのゴーゴーダンサーや、女性の格好をしてパフォーマンスをするドラァグ・クイーンなど過激方向にセンスが爆発している人との交流もあり、彼ら彼女らとクラブを出入りしていたので、一般の世界よりも特異で煌びやかな世界の方がイメージ合ってるので、居場所になっていったのかもしれません。
まあ父親は娘がストリッパーとして人気者になってると知ってショック過ぎて、2、3ヶ月は娘をまともに見ることができなかったようですが。仕方ない!
また、彼女はソングライター契約をインタースコープ・レコードと2007年に行なっており、意外かもしれませんが彼女は作詞作曲活動に専念していました。なんと1年でアルバム約150枚分の楽曲制作を行なったというので、クリエイターとしての側面がバッキバキに発揮されていたのです。
芸大時代に真剣に音楽の勉強をしていたというエピソードがあるので当然楽曲制作はできるのでしょうが、表舞台のイメージが強いゆえ裏方のクリエイターをやっていたのが正直ピンとこないです。
が、憧れのブリトニー・スピアーズなど有名アーティストに楽曲提供していたので、当時から才能を活かしていたようですね。
表舞台へ
シンガー、楽曲制作者、ストリッパーというユニークなコンボを決めて下積みを経験していった彼女は、2008年にザ・フェイムというデビューアルバムでついに表舞台に訓練します。
楽曲制作のキャリアを活かして、歌詞や主旋律、シンセサイザー演奏などトータルにレディ・ガガ自身が手がけたこのアルバムは、世界中でヒットを飛ばします。アメリカでは最高位4位、日本でも最高位6位、オーストリアやカナダ、イギリス、アイルランドでは1位を獲得し、瞬く間に彼女の名が知れ渡ることになりました。
そして2009年にリリースしたポーカー・フェイスは、アメリカだけでなく世界17ヵ国の国と地域で1位を獲得。2000年を代表する名実ともにスターとなった彼女は、これまでの秘められていた才能をスーパーアーティストという形に変換し、以後も世界を唯一無二のクリエイティブで満たし続けることになります。
ちなみに2010年にフォーブス誌が発表した「最も稼いだ30歳未満のセレブリティ12人」によると、2009年6月から2010年6月の1年間で6,200万ドル、日本円にして約55億8,000万円稼いでいます。
でもってビルボード誌の「2010年アメリカ音楽業界で最も稼いだアーティスト」では年収25億円を記録して、テイラー・スウィフトやポール・マッカートニーといった世界的アーティストをすっ飛ばして堂々の1位を記録。
学生時代に抑圧されていた個性爆発しスギィ!!!!!
素晴らしい。
女優としてのレディー・ガガ
元々芝居がかった話し方をしていたという幼少期の話もあったのは、彼女自身が女優に憧れがあったからというのもあるのでしょう。
その夢は2015年に叶います。アメリカン・ホラー・ストーリーというホラーテレビシリーズ第5シーズンでホテルオーナーのエリザベス役として出演し、第73回のゴールデングローブ賞においてミニシリーズ・テレビ映画部門の最優秀女優賞を受賞しました。
そもそもが女優としての才能を有していたということかもしれませんね。
ちなみに2016年に放映された第6シーズンでは魔女役で出演しています。似合いそう。
これらの女優業としての経験は、同年に発表したジョアンというアルバムに影響を与えたと発言しており、彼女のクリエイティビティに女優業が深く関わったことが伺えます。
ちなみにジョアンでは、それまでレディ・ガガの奇抜なファッションが定番となっていましたが、今作ではシンプルさがテーマとなっています。派手なだけが彼女の魅力ではない、というかシンプルさでも個性を表現できるのは、彼女が派手さで自分をごまかすような人間ではなく、深みのある人物だからこそなのだと思います。
このジョアンというタイトルは、19歳の若さでなくなった彼女の叔母の名前です。実際に叔母と会ったことはないですが、父と叔母の写真や手紙、また祖母の学生証などがアルバムのアートワークにも使用されているということで、彼女の叔母に対する思いが伝わってきます。
主演までやってのける
女優としてちょっと出ただけ、なんてことはなく、2018年にはなんと主演女優として映画に出演します。
アーティストがなんちゃってで主演やりましたなんてことはなく、思いっきり批評家からも高い評価を受け、挙句にはアカデミー賞やらゴールデングローブ賞やらに主演女優賞としてノミネートされまくるという普通にすごいことをやってのけたレディー・ガガ。
彼女が主演を張った映画は「アリー/スター誕生」で、本作は1937年に公開されたスタア誕生という映画のリメイク作。
じつは彼女はもともと女優志望だったのですが、その夢を諦めて歌手の道を進んだといいます。歌手としての道を進むと決めてからの成功っぷりは周知の事実ですが、音楽業界で成功するためにはかなり本気で動き回っていたようです。
なんならマネージャーのフリして手当たり次第に電話して「レディー・ガガは街で最もホットな歌手だ」と語ったりと手段を選ばずにやるくらいのエネルギーに満ち溢れていたあたり、決して自身の才能だけで成功したわけではないのでしょう。
尽きることのないエネルギーを持っていることを才能というのであれば、彼女はまさに太陽のような存在でしょうが。
とにかく諦めるということを決してせず、ただただ自分を信じて音楽のキャリアを積み重ね、そのなかで自分の音楽を通してのキャラクターを作り続けたレディー・ガガ。
つまり、彼女はアーティストとしてのキャラクターを演じることで、演技力を育んでいたのです。
もちろん才能の部分も多分にあるでしょうが、彼女が努力によって獲得してきたものが、女優業で花開くこととなりました。
ガガの演じた歌手アリーは、世界的シンガーのジャクソンに才能を見出されてスターになっていく女性の役。
これは彼女が駆け上ってきたスターダムとリンクする姿でもあります。
映画の中の彼女も、アーティストとしての彼女も、象徴的な存在として観客を感動させているあたり、アリーとレディー・ガガを内包したステファニーという女性の魅力がどれほど大きなものなのか驚かされるばかりです。
影響を受けた芸術家
彼女自身が一流のエンターテイナーですが、その彼女が影響を受けたアーティストもやはり一流の人々。
デヴィッド・ボウイやクイーン、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダー、さらにはブラック・サバスやジューダス・プリースト、メタリカといったハードロックやメタル畑のアーティストに、マドンナ、マイケル・ジャクソンやシンディ・ローパー、ホイットニー・ヒューストン、ブリトニー・スピアーズなどポップ歌手など幅広い分野のスターから影響を受けています。
一流のアーティストは一流のアーティストに触れているというのがよく分かりますね。優れたアウトプットは優れたインプットによって培われるということでしょう。
特にマドンナのことはレディ・ガガ自身もファンだと公言しており、またパフォーマンスや音楽性もマドンナからの強い影響が節々から見て取れるため、彼女を構成する要素としてマドンナという女性はとても大きなパズルのピースとなっています。
また、ほかにはアメリカのスカパンクバンド、ノー・ダウトのボーカルであるグウェン・ステファニーの影響も強いとされていますね。派手さとアート感がまさにという感じがすげえします。
金銭に触れるものを集めていったらレディー・ガガという存在が作り上げられていったと考えれば、レディー・ガガという存在自体が芸術作品だとも捉えられます。
ステファニーという女性が作り上げたレディー・ガガという作品が、歌唱とパフォーマンスという手段で表現をしていると考えれば、歌手のレディー・ガガが映画の主演やって評価されたというよりは、ステファニーという芸術家が女優という表現手段を使って新たな創作を行なったと捉えるのが自然なことに思えます。
レディー・ガガとファッション
レディー・ガガの芸術性を感じずにはいられないものの一つがファッションです。事実、彼女自身もファッションを何よりも大切なものであり、自分のすべてであると語るように、ファッションへの並々ならぬ情熱とこだわりがレディー・ガガという存在を作り上げているといっても過言ではありません。
楽曲を制作するときには、ステージで着たい服のことを考えながら作るというので、音楽にはファッションありきだというのが思いっきり出ていますね。
このファッションへのこだわりは前述したように母からの影響が大きいとのことなので、前衛的なファッショニスタを生み出したお母さん改めてすげえですね。
ちなみに自身のファッションやらヘアスタイルのプロフェッショナルな専門チーム「ハウス・オブ・ガガ」を持っているという本気っぷり。そりゃ生肉のドレスも着込みますわな。
2010年にMTVミュージック・ビデオ・アワードの授賞式で着用していた生肉ドレスは賛否両論の物議を醸しまくりだったことは、12年も前の話なのに記憶に新しいという。前衛的過ぎる。
とはいえこの生肉で構成されたドレスがそんなに珍しくないようなアーティスティックさ1000%のファッションで世間を賑わせまくってきた彼女。帽子かぶるノリで仮面付けたり、エリザベス女王との謁見では天然ゴムでできた深紅のドレスを着こなしたり(これでシンプルと言われる始末)、クリスタルで覆われたヘッドピースなのか何なのかよく分からないものを頭に着用していたり、挙句は47cmのヒールを履いたりと歩行を目的にしていると思えない靴履きこなすなど、彼女単体でランウェイが成立する存在感はまさに芸術そのもの。
芸術家であり慈善家
そして芸術家としてだけでなく世界的に社会貢献活動にもめちゃめちゃ精力的だというのがマジで凄い話で、セレブリティによる事前活動貢献度ランキングでは2年連続1位に選ばれるという偉人クラスの活動をしている人です。
地震が起こればハイチだろうと日本だろうと多額の寄付金を用意し、エイズ撲滅のために啓蒙活動にも余念が無く、性的マイノリティへの支援やいじめを撲滅するための運動、さらにホームレスや貧困問題への支援など、多種多様な慈善活動を行なってきたレディ・ガガ。
本当に一個人の魂の器が大き過ぎるというか、人間の域から突出しているというか。
アーティストと形容するより本当に偉人や聖人と表現した方がしっくりくる。
多方面で活躍する生粋の芸術家
アーティストとしてだけでなく、女優へと転身してオスカー像を手にしたり、社会貢献活動でいじめの撲滅やエイズ撲滅、震災の復興支援など多方面で活躍しつづけるレディ・ガガ。
辛い経験があってこそそのエネルギーを作品に昇華した彼女は生粋の芸術家であり、人の痛みを深く感じることができるゆえに慈善事業にも積極的な彼女は、豊かな感性と深い愛情を持って、今後も世界に人々を歓喜させるアートを生み出してくれるでしょう。