穏やかでポップな音楽を奏でると思いきや、冗談のように極彩色のタトゥーを掘り倒していることにまず驚愕したイギリスのミュージシャン、エド・シーラン。
ルックス的にもサウンドも自然体なのにそこまで彫り倒すかと言わんばかりに色鮮やかなボディを持った素晴らしいビジュアルもさることながら、アコースティックギターを使って特徴的かつ世界万国万人の心に響くメロディは、全世界で4500万枚以上のアルバムセールス、1億5000万枚のシングルセールス、20代の若さでグラミー賞を4度受賞するという評価も納得のいく魅力を秘めていきます。
21世紀を代表する突出した才能、抜群の歌唱力と半端ない美術品を身体に刻んだエド・シーランについて、今回は紹介していきましょう!
エド・シーランとは?
エドワード・クリストファー・シーランは、1991年にイギリス東部にあるウェストヨークシャー・ハリファクスで生まれ、サフォーク州フラムリンガムで育ちました。
サフォークはロンドンから最も近い海岸があり、自然の豊かさが魅力的なエリアです。このサフォークで育ったことが彼の感性を養った直接的な理由にもなっているでしょう。
豊かな土壌は健全な肉体と精神を育み、生物として恵まれた魂が養われます。ミュージシャンとしての彼の美しいメロディは、美しい自然地域で磨かれたことは想像に難くありません。タトゥーは凄いけど。
豊かな自然と恵まれた家庭環境
また、彼の感情が養われたのはその豊かな周辺環境だけではなく、家庭環境にもあります。
というのもエド・シーランの家族は軒並みアートに精通していたのです。生まれるべくして生まれたアーティスト感。
父親はアートキュレーターとしてアートスクールなどで講義を行なっており、母親はジュエリーデザイナーです。そのためエドの兄であるマシューも当然のように芸術的な下地があったゆえに、現在は作曲家として活躍しています。
そしてエドは4歳の頃から教会の聖歌隊に加入して、幼少期から歌にも触れ始めました。優れたアーティストになる素養まみれの環境ですね。
さらに楽器にも小さい頃から触れています。ギターやピアノといった楽器に触れており、幼少期にヴァイオリンを弾く姿もミュージックビデオから確認できます。音楽の道に行くことしか想像できないような育ち方してまっすねホント。
挙げ句の果てには両親の仕事のつながりでロンドンに行く機会にも恵まれており、英国を代表する世界のアーティスト、ボブ・ディランやエリック・クラプトンの音にも触れていたといいます。
こんな生活してりゃあ当然っちゃあ当然かもしれませんが、11歳の時点ですでに作曲を始めており、音楽への思いはこの時点で並々ならぬものがあったのではないでしょうか。
そして16歳には音楽の道に進むことを決意して、ロンドンに旅立ちます。
当たり前みたいな音楽ルートに進む幼少期からの経歴ですね。彼が偉大なシンガーになるのは、10代から約束されていたものなのでしょうか。
ロンドンでホームレスになる
そんな順調にはいかなかったようで、彼は路上やスタジオでライブ活動を地道に行うも、すぐに有名なレーベルと契約するだの著名なプロデューサーの目に留まるなどのとんとん拍子は発生しませんでした。
エド・シーランの才能を持ってしても、その才能が開花する気満々の環境がありながらも、速攻で売れたなんてことはなかったのです。ぃっさい、彼はイギリスは首都ロンドンに16歳で飛び込んだはいいものの、家賃だってロンドンクオリティなわけですから簡単に払えず、知人の家に泊まり込んだり路上に泊まり込んだりしていました。
路上で泊まり込むのはつまりホームレスなので、後に男性ソロ・アーティストとして異形を成し遂げるエドが地面が寝床だったと考えるのが難しいですが、シンデレラストーリーにはなるエピソードですね。男ですけど。
とにかくロンドンでの活動は非常に下積み感が満載だったのですが、それでも一生懸命に活動していくにつれてファンを獲得していきます。一生懸命もなにも、2009年には1年で300以上ライブ活動やっていたというわけで、音楽への本気っぷりが行動に表れていますね。
なにも才能だけでのし上がったのではなく、熱い思いとど根性が彼を支えたのでしょう。才能だけにあぐらかいてりゃ世間になんざ簡単に埋もれます。そりゃタトゥー洒落にならんくらい入れるだけの魂持ってるわといったところ。
メジャーデビューからの躍進
根性と熱意は2011年に結果となり形となり、メジャーレーベルと契約してデビューシングルを提げて世の中にその名を轟かさせます。
というのもデビューシングルの「Aチーム~飛べない天使たち~」がしょっぱなからイギリスで第3位の記録を叩き出したのです。ホームレスやってた時代がなんだったんだと言わんばかりにデビュー直後に開幕ホームランかましてるあたりが、やはり時代を代表するアーティストに君臨するだけの男の才覚なのでしょうか。
デビューシングルでかっ飛ばしたエドは、同年にリリースしたファーストアルバム「+(プラス)」もイギリス国内はもちろん、アメリカや日本でもヒットという順調っぷり。以降も余裕で順調なアーティストの階段を駆け上がっていきます。
2014年に発売されたセカンドアルバム「x」。これはエックスではなくマルティプライと読みます。プラスの後だからエックスって読みそうですが。
このマルティプライでイギリス、アメリカともにアルバムチャートの初登場第1位をかっさらったエド。さらには世界で最も多くのセールスを記録した男性ソロ・アーティストもこのアルバムでゲットしています。
さらに2017年のアルバム「÷」(これでディバイドと読みます)も超絶順調で、最も再生されたアルバムとしてさまざまな音楽サイトで紹介されて売れまくります。
2010年代はエド・シーランの時代だったとも言えるような快挙を連発しまくり、2019年年には世界中で1億枚のシングル売り上げを達成してしまいました。
ちなみに2017年から2019年までに行なったツアー「÷Tour」は、コンサートツアーの記録でもエグいものを樹立しています。
それまでアイルランドのロックバンドであるU2が持っていたコンサートツアーのワールドレコードを塗り替えて、史上最も成功したコンサートツアーの第1位となったエド。ちなみに興行収益はトータルで7億3670万ドル、総動員数は815万684人です。規模がデカ過ぎて一瞬すごいのかどうなのか分からない数値です。
著名人との交流
世界を代表するアーティストになればもちろん交流も超一流になるというわけで、テイラー・スウィフトやジャスティン・ビーバー、エミネムといったこれまた世界的なアーティストとのコラボレーションも豊富に実現しています。
また、エミネムだけでなくヒップホップのアーティストとの交流も多く、リル・ベイビーやリル・ウージー・ヴァート、ザ・ゲームなどともコラボしています。
このようにヒップホップに対しても造詣が深く、彼の音楽性にはヒップホップの要素も多分に含まれています。
セカンドシングルの「You Need Me, I Don’t Need You」では高速ラップを披露しているので、彼の音楽の幅広さも窺えるといったところ。
音楽性
ポップスの印象があったりヒップホップもいける口であったりと、様々な音楽の素養が垣間見えるエド・シーラン。
実際に彼はさまざまなアーティストや音楽の影響を受けて自身を構築しており、幼少期からボブ・ディランやエリック・クラプトンに触れたことも当然ですし、ラップもしかり、さらにはソウルミュージックやR&Bも彼の音楽性を育んだ大きな要素です。
また、個人的な経験をベースにして歌詞を生み出しているというエドの曲には、いままでに出会った女性との思い出も込められているといいます。そのため心に響く物悲しく切ない響きも彼の音楽の魅力。
彼の描く歌詞を耳にすれば、彼が辿ってきた人生も窺い知ることができるのです。
恋人とのエピソード以外にも、家族や友人についても語られるため、彼が身近な人々に対して思う気持ちがどれだけ大きいかが読み取れるでしょう。
たとえば友人が子供を亡くしてしまったことに感化された歌詞や、エドの祖父母の死が歌詞となっている楽曲もあるため、彼自身の身近な出来事に対して深い感情を抱いていることが分かります。
また、エドが路上生活やってたときにホームレスシェルターで出会った女性を元に、デビュー曲は作成されました。それは薬物中毒の女性についての歌であり、エドにとって身近な体験が大きく影響していたのは想像に難くありません。
ちなみに、彼は幼馴染の女性チェリー・シーボーンと2018年に婚約しています。
11歳からの縁であり、ずっと関係があったわけでなく2015年の同窓会で再開して交際に発展したということですが、それでもスーパー楽曲がアルバムが売れ倒してビッグネームになってからのエドが、会計士の同級生の女性と結婚するというのが印象的。
地元感のある男性というか、ありのままの人間性を大切にする人っぽいエピソードだと思います。
さんざんセレブとも出会っていたであろうに。素敵です。
エドとタトゥー
なのにタトゥーがギャングでも入れないレベルで入れ倒しており、上半身なんて何か着てるのかと言わんばかりに隙間なく入れているので仰天します。
彼はタトゥー愛好家であり色彩豊かなタトゥーが本当に人によっては、というかけっこうな人が引くレベルで入ってるので必見です。
彼自身がシャツやらで肌を露出しないので、しかも人柄も良い感じだからでイメージぜんぜんないですが、まあ本当に凄まじく入っています。
ちなみによく見るとクマさんやらペンギンキャラのピングーやらやたらとキュートなデザインも散見しているのが彼っぽいのかもしれませんが。グレートブラックベースのチカーノギャングスタイルのタトゥーで全身埋め尽くされてたらマジで混乱するギャップですが、鮮やかでポップな彫り物だとまだ彼らしさを感じられるというか。それでも入れ方が尋常じゃないことに変わりないですが。
ちなみにエドのタトゥーを入れまくった彫り師のケヴィン・ポール。彼はエドの身体に40以上のタトゥーを入れてるので専属彫り師みたいな感じですが、そのケヴィン曰くエドのタトゥーはクソダサいそうです。
彫り師が客のタトゥーを本人に向かってもボロカス言ってるそうで、なんでそんなことになってるのかというと、エドのタトゥーはケヴィンから見てもキツいらしく、しかもエドのタトゥーを見た人からもキツいため、「エドにキツいタトゥーを入れた彫り師」というイメージがマイナスに働いて客が激減したのです。
そんな風評被害にさらされたケヴィンは実際は優秀であり賞も受賞しているのに、エドのいろんな意味で物議を醸すタトゥーが悪い意味で目立ちに目立って客を失う羽目になったのが、ビッグネームの力の凄まじさを物語る話ですね。
しかし失った客も本当に多いとはいえ、逆にリアーナやワン・ダイレクションのハリー・スタイルズなど世界的セレブの客が増えたという良いのやら悪いのやら分からない結果になったケヴィン。
ちなみにケヴィンはエドとハリーがおそろいでペングーのタトゥーを入れたのを見て「はっきり言ってクソだ」とやはりボロカスに迷言しながらも「彼らにとっては思い出であり、意味のあるものだ」とちゃんと顧客に対しての理解もあるところがプロです。ボロカス言ってますけど。
優しさとタトゥーに溢れたアーティスト
温かい人間性ととんでもないタトゥーに満ち溢れたエド・シーランは、自分の気持ちに素直であり、包み隠すことなく楽曲に想いをさらけ出す素直さがあるからこそ、多くの人に伝わる楽曲を生み出すことができるのではないでしょうか。
セレブやアーティストとの交流がありながらも、自身の身内や身近な人々を大切にする等身大の彼の存在は、時代を代表するシンガーとしてこれからも歴史に刻まれ続けます。
2020年には同級生のチェリー・シーボーンとの間に第1子ライラ・アンタークティカ・シーボーン・シーランが誕生しています。何気に長い名前ですが、アンタークティカは南極大陸を意味する言葉。
すごいのを名前に組み込んだなとは思いますが、娘の父となったエドはまたさらに心温まる楽曲を生み出してくれるに違いありません。