「猟奇趣味的激烈音楽集団」
こんなとんでもない名前で呼ばれているバンドをご存知でしょうか。これは日本での愛称なので正式名称ではありません。
Slipknot
全員が特徴的なマスクをかぶって激しい演奏とパフォーマンスを行うカテゴライズが難しいバンドです。有名なので見聞きしたことがある方も多いかもしれません。
ルックスもさることながら音楽はもちろん、メンバーそれぞれのエピソードも刺激的で過激な魅力あふれるバンドの紹介を今回はしたいと思います。
ちおなみにですがバンド名の直訳は「絞首刑や動物捕獲などで使うしめ縄」を指します。嫌な予感しかしませんね。最高です。
Slipknotとは
1995年9月に結成されたバンドで、最大メンバーは9人の大所帯集団です。結成当初から9人編成だったわけではなく、じょじょに人数が変動して9人体制になりました。
なぜ9人もメンバーがいるのかといえば、ギター、ベース、ドラムの基本的な楽器に加えて、パーカッションと呼ばれる打楽器を扱うメンバーやターンテーブルを使用するなど通常のバンド形態にこだわらず縛られず自由に奔放な音楽スタイルをとっているのもSlipknotの特徴。
そのため音楽のジャンル区分にいささか困惑されがちバンドでもあります。というよりも、さまざまな音楽ジャンルが混じって構成されっているので、一言で表現するのが難しいのです。
含まれている音楽性はニュー・メタルやラウドロック、ミクスチャーやオルタナティブ、ラップコア、メタルコアなどけっこうなごちゃ混ぜ感があります。
しかし総じて言えることは、激しい音楽性です。もちろんメロディアスな音楽もあるはりますが、基本的に激しく重く速い伴奏に怒鳴り散らし叫び散らしがなり散らすボーカルの声と、苦手な人は苦手、好きな人にはたまらない暴力性と過激さが込められています。
とはいえめちゃくちゃ聞きにくいかと言われればそうでもなく、一言で雑に表現してしまうと「すごく激しくて恐ろしげなのにカッコいいバンド」というのが感覚として多くの人に伝わる説明かもしれません。
カッコよさというとザックリした説明になり過ぎるので、どうカッコいいのか、どのような音楽性なのかは順繰りに説明していきます。
個性あふれまくるビジュアル
まずSlipknotの激しカッコよさは音楽を聴く前に1発で理解できます。
どういうことかと言いますと、ルックスが非常に特徴的なのです。なんとメンバー9人全員が個性あふれるマスクを常時着用しており、服装はお揃いの蛍光色オレンジのジャンプスーツ。(これは予想ですがアメリカの刑務所の囚人の服装をイメージしているのでは…?)
一目見れば記憶に残るこのビジュアルは、バンド的には意味を込めてのこと。
「どうせ目立って攻撃的なカッコしてりゃいいとでも思ってんだろ」とお考えの方、そうではありません。
『演者のルックスやら名前ではなく、音楽だけで俺たちのことを決めて欲しい』という理由から、メンバーの素のルックスが分からないようにしたかったのが元々の理由だそうです。
そのためメンバーの名前は、本名ではなくそれぞれ番号が振られているほどの徹底ぶり!
こんな尖った見た目してたらスッピンで出るよりも確実に目立っちゃいますよ!!!!!
というツッコミはなしです。本当にこういう理由で始めたのか、プロモーション活動の一環でこう公言していたのか定かではありませんが、ドギツイルックスに一応それなりにちゃんとしたっぽい理由をつけているのは、音楽に対して真摯に向き合っている一側面、なのかも、しれません。
…音楽だけ聴いて欲しかったらなぜ子供が見たら悪夢に出るようなマスクばっかり付けてるんだよと言いたくはなりますが。
ファンを蛆虫呼ばわりするバンド
バンドメンバーだけでなくバンドのファンもそれぞれの呼び方で表現されることは珍しくありません。
Slipknotのファンも愛称で呼ばれるのですが、彼らはバンドから「蛆虫(Maggots)」と呼ばれています。
すごくキャッチーで覚えやすい愛称ですね!
ちなみに彼らの楽曲で「Pulse of the Maggots」という曲がありますが、これはファンのことを表現しているのでしょうか。直訳すると「蛆虫の躍動、蛆虫の興奮、蛆虫の波動」です。
熱狂するファンたちの姿に感銘を受けて作曲したのかもしれません。彼らにはステージから眺められる光景が蛆虫の蠢く姿に見えたんでしょうね!
超人気バンドですからいざ音楽やるってなれば群衆は群がり会場はパンッパンになりますから、あながちそう見えても不思議ではないかもしれません!
それにしてもひどいですね!
ちなみにPulse of the Maggots自体はスーパーカッコいい楽曲なので後ほど改めて紹介できれば。
軍隊行進のような足音や群衆の熱狂する叫びなど、楽曲以外でも耳と印象に残る音が混じっているあたり、大勢の人間をイメージされていることは間違いなさそうです。
9人のイカしたイカれたメンバー紹介
Slipknotはメンバーの入れ替えが何度かあるので、全盛期と考えられる時代のメンバーを紹介できればと思います。この黄金期とも呼べる時代になんでメンバーが抜けてるのかというのも、かなりイカつい事情があるので紹介したいところ。
触りだけ言えばなぜか死亡したりなぜかリストラされたりとかそういう事情です。ぽいですね!
ちなみに個性豊かなグロいマスクたちは初期は市販されていたり自分たちで作成していましたが、2000年以降しばらくは日本人のアーティスト「スクリーミング・マッド・ジョージ」が作成していました。
バンドもバンドならマスク作ってるアーティストもアーティストだなって一瞬で悟る名前してますね!(彼は学生時代からグロくてシュールな絵が得意だったようです)
シド・ウィルソン #0
1998年バンドに加入。担当楽器はターンテーブル。マスクはガスマスク風、ドクロ風、SF風のメカニカルなものなど固定したビジュアルに囚われず、時期によってコロコロ変わっています。
Slipknotはステージ上での派手なパフォーマンスも魅力ですが、彼はステージでのお祭り騒ぎが大得意。客席におもっきりダイブして骨折するなんて朝食みたいなものです。
彼は先天性の多指症で指が6本ありましたが、現在は手術をして5本指になっています。ちなみにアニメのトランスフォーマーが大好き。
ジョーイ・ジョーディソン #1
1975年4月26日生まれ。1995年加入。担当楽器はドラム。
彼はオリジナルメンバーの一人ですが、現在はバンドメンバーではありません。
しかし彼の存在は大きく、バンドコンセプトを決めるには欠かせない存在でした。
彼のマスクは常に白塗りのコープス・メイクと呼ばれる悪魔などを連想させる非人間的なマスクを常に着用していました。
かなりの小柄な体躯ですが、業界屈指の強烈かつ高速ドラミングを披露しており、名ドラマーとしても世界的に有名です。
ちなみに当時メンバーで唯一タトゥーを入れていなかったのですが、その理由は「痛い」から。シンプルな理由ですね。そんな理由で拒むようなビジュアルに見えないので(特に演奏中)ギャップが凄まじいエピソードです。
彼はバンドをだっていしているといいましたが、その理由はシンプルではありません。
メンバーとの確執があったのか、突然解雇されたといいます。ちなみに自分の解雇をテレビのニュースで知ったのだとか。
「…聞いてねえよ!」って気分だったでしょうね。
そして悲しいことにこの世を去っています。2021年7月28日、享年46歳。睡眠中に亡くなっていたとのこと。…睡眠中に亡くなっていたって。
ポール・グレイ #2
1972年4月8日生まれ。1995年加入。担当楽器はベース、コーラスも担当。
彼もオリジナルメンバーの一人です。そしてかなりの大柄です。
マスクデザインは当初はブタを模したもの、途中からジェイソンタイプのややシェイプされたものに変わっていきました。
2003年には車での衝突事故を起こして、挙句に大麻やコカイン所持などがバレるいう非常に音楽性を表現したような逮捕のされ方をしています。
彼も旧メンバーです。突然ニュースでクビ宣言かまされたわけではなく、笑えない話ですが死亡したからです。
2010年5月24日、アイオワ州デモインのホテルで死亡しているのが発見されましたが、死因はモルヒネとフェンタニルの過剰摂取によるものでした。死に方がツッコミどころありますが、重い心臓病も患っていたとのこと。
やたらと死の発表が連続しているのでなかなか重いメンバー紹介になってますが、次のメンバーもとある理由で脱退しています。
クリス・フェーン#3
1998年加入。担当楽器はパーカッション、そしてコーラス。
マスクは長い鼻が特徴的な死人をイメージしたもの。彼は旧メンバーです。しかし死亡したわけではありません。
パーカッションは打楽器でありライブパフォーマンス中にバコバコと叩きまくるだけでなく、打楽器の上に飛び乗って暴れまくるという激しいパフォーマンスを魅せるユーモアあふれる人物です。
しかしパーカッションはギターやドラム、ベースなどのように複雑な技術を必要とするものではなく、ただ叩きまくるスタイルで演奏していたからか、バンド内でギャラの問題があったようです。
そして2019年にはギャラの未払いなどを理由にバンド相手に訴訟をぶちかまし、その4日後にバンドを脱退しています。
旧メンバーの脱退理由がどれもこれもコメントしづらいですね。
ジェイムズ・ルート #4
1971年10月2日生まれ。1999年加入。担当楽器はギター。
彼は生きています。そして現メンバーです。やりましたね!(やっと普通に紹介できます)
マスクは当初は前のメンバーが被っていたというおさがりの黒いフェティッシュマスクでしたが、「IOWA」というアルバム以降はジョーカーや悪魔をイメージしたペイントのマスクを着用しています。
身長は198cmとかなりの長身。
最後に紹介するボーカルのコリィとは別バンド「ストーンサワー」でも活動していました。ちなみにコリィはドラムのジョーイをクビにした張本人でもあるのでわりと気難しいのではという気がしますが、そんな彼とうまくやってる証拠なのかもしれません。
クレイグ・ジョーンズ #5
1996年加入。担当楽器はサンプラー。彼のマスクはメンバー内でもかなり特徴的で、長く鋭い釘だか棒だか針のようなものが無数に突き出たマスクを常に被っている。
ミステリアスな風貌に違わず、インタビューなどでは一言も発さず、素顔を晒すこともありません。ほかのメンバーは別バンドで素顔で普通に活動したりしていますが、彼の場合は正体不明。ドキュメンタリーなどで映像が流れる場合でも素顔にモザイク処理がされるほどの徹底ぶりです。
そんな彼ですが公式ウェブサイトや公式のYoutubeアカウントの管理など行っているようで、裏方での活動が好きなのかもしれないですね。
ショーン・クラハン #6
1995年加入。オリジナルメンバーの一人で、担当楽器はパーカッション、コーラスにも参加しています。
マスクはピエロをモチーフにしたデザインを一貫して使用。
バンドコンセプトにおける中心人物でリーダーで、イカしたミュージックビデオの制作にも深く関わっています。
ちなみに映画監督や写真家の一面も持っているなど、バンド以外でも幅広く活躍しています。
意外にも4人の子供を持つお父さん。ですが、悲しいことに子供の1人は薬物の過剰摂取で死亡しています。
やたらと薬物がらみのエピソードが絶えないですが、メンバーの子供まで薬物が関わっているのは冗談にできませんね。
ミック・トムソン #7
1996年加入。担当楽器はギター。
マスクは面長でメタリックな悪魔風デザインのものを初期から愛用しています。
激しいヘッドバンギングが特徴的なスタイルでしたが、近年はわりとどっしり構えて演奏するようになっているよう。落ち着いたのか身体に負担が強過ぎたのか。ヘッドバンギングは首にシャレにならんダメージを与えるので危険行為ですからね。(本気で頚椎に深刻なダメージを与えるので)
コリィ・テイラー #8
1997年加入。担当はボーカルです。初期のマスクはゾンビ風だったり、デザインがわりとコロコロ変わっています。ですが一貫してわりとおどろおどろしい、恐ろしげなデザインが多いです。近年はスマートなデザインに変わってきています。
別バンドストーンサワーではメンバーのジェイムズ・ルートとともに素顔で活動しています。
10歳から喫煙して13歳からドラッグに手を染め、過剰摂取で2度死にかけたり自殺未遂をするなどバンドの顔にふさわしいぶっ壊れた生活を送っている人ですが、歌唱力は圧巻というのが過酷な人生を経た上で生まれるアーティスト性とでもいうべきでしょうか。
オススメ楽曲紹介
ラストにSlipknotのオススメの曲を紹介。うるさいものを中心にババっと並べますよ!
People shit
Before I forget
Sic.
Spit it out
I am hated
Pulse of the maggots
Wait and bleed
Duality