ブラスバンドの花形!「トランペット」とはどんな楽器?

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演奏者の唇の振動によって発音する金管楽器。

なにゆえ金管楽器というかというと、真珠で作られることが多いからということです。

別に金属でできているか否かは重要ではないのですが、名前からどうしても金属製かどうかが頭をよぎりがち。

なかでもトランペットは見た目が金ピカなので「え!?トランペットで金でできてるの!?」なんて思った方がいてもまあおかしくないかも、しれません。(もしトランペットが金でできていたらとんでもない楽器になりますが)

金でできていれば身近に存在するわけのないトランペットですが、金でできていなくともあまり馴染みのない方も多いかもしれません。

学校に通っていれば吹奏楽部の音色が放課後のテーマソングとして身近でしょうが、音楽としてはオーケストラやジャズなどで用いられることが多く、それらのジャンルに触れない方には耳にすることも少ないのではないでしょうか。

(ポップスでも用いられるので好きなアーティストやバンドで使われていれば別ですが。)

というわけで今回はトランペットの歴史やら特徴を紐解いていければと思います。

トランペットとは

金管楽器の一つであるトランペット。

語源は貝殻の一種を意味するギリシア語からきているとされています。

トランペットを見たという方は多いでしょうが、構造に対して疑問を持つ方も多いはず。

トランペットは空気を通すピストンの組み合わせによって音程を変えています。

ピストンはトランペットの管部分に縦に3つないし4つ付いている特徴的な部分です。

このピストンを押す組み合わせで音が変わるだけでなく、もう一つ音を変えるために重要なのが唇の使い方です。

金管楽器は唇の振動によって音を鳴らすため、唇を緩めたり締めたりすることで音程を変化させることができます。

また、息を吹き込む部分にはマウス・ピースというものを取り付けます。

マウスピースを付ける金管楽器は同様の原理で音を出します。ではどうするかというと、奏者が上下の唇を合わせて息を吹きます。このときの上下の唇の振動によって音が発生するのです。

振動がマウスピースとトランペットの管を通っていって、金管楽器同時の音を生み出すのです。

ちなみに、トランペット奏者は唇が命なわけで、ケアするためにリップクリームなどが必需品になります。

なので男性であろうと関係なく唇はプルプルです。

(ここで男女の差を出す必要なんて別にないかもしれませんが、プロのトランペット奏者でリップクリームを使うのは常識レベル。楽器のケアと唇のケアは同等ともいえるでしょう)

トランペットの特徴

トランペットはかなり甲高い音のイメージがあるのではないでしょうか。

それもそのはずで、金管楽器のなかでも最高音域を請け負っているため、華やかな音色はトランペットの醍醐味。

唇の振動とマウスピースから管へ通して音を発するといいましたが、空気を入れるだけでは演奏はできず、空気のスピードや唇の緩め方で音の高さを調節します。

トランペットの種類は豊富で、主流のものはB♭管のトランペット。吹奏楽部でもよく用いられるもので、最も一般的なトランペットといえます。

ちなみにこのB♭管のB♭は、ドの音を鳴らします。

同じイメージでC管トランペットというのはCでドの音が鳴り、B♭よりも明るい音色が出るなど、トランペットそれぞれで違いや用途の別もあるのです。このC管トランペットは主にオーケストラで使われます。

このほかにも、小ぶりのトランペットであるコルネットや、特徴的な形状をしているピッコロトランペット、ロータリートランペット、フリューゲルホルンなどさまざまなものがあります。

ちなみに、トランペットの素材の多くはブラスと呼ばれる銅を含んだ合金で、合金に配合される金属の比率によって種類分けがされています。

たとえばイエローブラスだと、銅が70%で亜鉛が30%です。ゴールドブラスは銅が85%で亜鉛は15%、ローズブラスとも呼ばれるレッドブラスは銅が90%で亜鉛が10%。これら合金の比率が変わることで音色まで変化するので重要な要素です。

イエローブラスは明るく輝きのある音色で、ゴールドブラスは柔らかく力強く、レッドブラスは柔らかさや温かみを感じられる音色が特徴。

トランペットの役割

トランペットは金管楽器の中でも最も高く華やかな音を出せるので、吹奏楽などでは特にその立ち位置が目立つ存在。

吹奏楽ではクラリネットやフルートなど、たくさんの楽器によって構成されていますが、最も存在感があり圧倒的なパワーすら感じさせるトランペットはやはり花形ともいえるものです。

バンド全体の音がトランペット一つで大きく変わるため、音楽の流れを先導する役割もあります。

そのため、式典などで演奏される華やかな楽曲ファンファーレを演奏できることも特徴を表しています。

華やかさとパワーを併せ持つ楽器な音で、奏者に適しているのは陽気で目立ちたがり屋のような人が向いている楽器と言えるでしょう。

実際にトランペット奏者では陽気で明るい人が多いようなので、楽器は奏者を表しているといえますね。

(たしかにギターっぽい人とかドラム叩いてそうな人とかベースっぽい人っていうのはなんとなくありますし、楽器が人柄を表すというのは面白い話です)

トランペットの音の出し方

トランペットはバルブを使って管の長さを変えることで音を変えることができますが、一般的には管が長くなることで音は低くなります。

バルブはマウスピース側から第1、第2、第3となっていて、第1バルブを押すと1音下がり、第2バルブを押すと半音下がり、第3バルブを押すと1音下がるようになっています。

押し方で音が変わるので、それぞれどのような押し方をすればドレミの音階が出るのかを覚える必要がありますが、トランペットの特徴はこのバルブの操作だけではありません。

先述したように、ドとソは同じバルブ操作によって音が出るため、指使いでいえばドとソは同じになります。

唇の振動によって音を変えるため、低いドの音を出すときは唇の振動を遅くする必要があります。

そして高い音、つまりソを出すときには細かい振動が必要になります。

さらに高いドを出す場合は、より細かい振動が必要になるというわけです。

これは金管楽器に触れていない人にとっては馴染みがない動作になるので、はじめは難しく感じるかもしれませんね。

楽器にはピアノなりギターなりドラムなり、指使いやら手の動きが必要になりますが、金管楽器であるトランペットの場合は指使いにプラスして息づかいが求められるのです。

まず息を出すこと自体を練習しなければいけないので、コツが必要なだけでなく、指使いと息づかいどちらも使いこなす必要があるので、金管楽器独自の慣れが必要になります。

ちなみに息の出し方のコツは、大きく息を吸って軽く唇を閉じ、そのままの状態で息を出します。

そのままというのは、唇の形を変えたりせず、かつ頰を膨らませたりしないようにするということです。

息の出し方を意識することなんて普段ないでしょうし、そのまま息を出すというのも、はじめは難しいかもしれませんね。

トランペットの歴史

トランペットはいつから存在していたかというと、かなり古くからその起源を遡ることができます。

どのくらい前かというと、紀元前、よりも遥かずーっと前の、新石器時代にまで遡ることができるのだとか。ちなみに新石器時代がいつかというと、最古であれば8000年前です。

じつに数千年単位の過去からトランペットの祖先は存在していたということになります。とはいえもちろん現代のトランペットのように仕様がしっかりしていたわけではなく、原子的なトランペットとされるものは唇の振動によって音を出すだけの楽器でした。

楽器の中でも吹いて音を出すというのはシンプルで古代からもあったというわけですね。素材も木や竹、樹皮、さらには人骨まで使われていたというので、このシンプルな楽器の幅広さが窺えます。(人骨に口つけて音を出すってかなりイカつい構造してますが)

素材もさまざまであり構造もシンプルで音を発することができたためか、世界中の大陸に古代から存在していました。

いまでこそトランペットは音色を生み出す楽器として重宝されていますが、トランペットの祖先とも言えるものは楽器というよりも宗教で用いられる儀式的なアイテムとしての側面が強かったです。

もしくは軍隊などで合図の音として使われるなど、今日のトランペットとしての使われ方は見られません。

原初のトランペット

原子的なトランペットの形は非常にシンプルで、一本のストローのような形をしていました。材質も茎や木など、そのまま自然物を用いて音を発することができるものが利用されていました。

考えてみれば、原子的な素材をそのまま吹くだけで音が鳴るのであれば、楽器としても太古から存在していたのは納得がいきます。

楽器としては紀元前2000年前のエジプト絵画にトランペットが描かれていることも判明しているので、紀元前から脈々と楽器として進化してきたことが見て取れます。

出土品としては3000年前にやはりエジプトから出土品として存在しているものがあります。

この出土品の材質はさまざまで、銀や青銅のほか、なかには金でつくられたものもあります。

このように、材質も木や茎といったものではなく、素材にもこだわって製造されるようになりました。

とはいえ、まだ音楽を奏でるもおんではないので音階は生み出せないもので、1本の短い管としての構造をしていたトランペットの祖先。

音楽として用いられるようになるトランペット

トランペットが呪術的な利用や合図として利用されるところから、音楽的に楽器として使われるようになるにはそれなりの時間が必要でした。

ギリシャ時代やローマ時代には戦争の行進に愛用されていたということで、人々が音楽を楽しむためという利用方法ではなく、軍楽用としてラッパ隊がいたように、楽器の使い方が今日のものとはかけ離れていたようです。

(もちろん現在も軍楽隊によってトランペットは演奏されています。アメリカ大統領直轄の海軍軍楽隊にトランペットはありますし、吹奏楽団としての音楽隊である軍楽隊の歴史は太古から現在まで脈々と受け継がれているのでしょう)

10世紀頃のヨーロッパでは、象牙や木の管に穴を開けて作られた楽器ツィンクが登場します。

ツィンクは金管楽器の一種で、期限は古代の角笛にあります。それから穴の数を増やして進化していき、12世紀にはアラビアの影響を受けて長い楽器が生まれました。この頃には円筒の特徴的な管の形がでてきて、現在のトランペットに近い形となっていきます。

そして14世紀ごろには金属製の長い管を使ってトランペットが使用され始めます。

最古の資料では1400年のもので現在のトランペットにかなり近いS字形の管をもっています。

16世紀にはスライド・トランペットのトロンバ・ダ・ティルラシが誕生して、ドイツの教会で使用されていました。スライド・トランペットとはトロンボーンを小さくしたような見た目の楽器で、スライド管と呼ばれるものが取り付けられたトランペットです。

それから17世紀頃になってようやく旋律が奏でられるよう進化していきました。

トランペットとしての存在は過去からあったというのに、楽器として音楽に使われるには随分と年月を要したことになります。

19世紀初頭には、カステン・ヴェンティルという2つのバルブからなる楽器が発明されました。

バルブとはいきの通り道を切り替える装置で、現在のトランペットは3本ピストンのものでありまだ形状に違いがあります。

しかし1825年に3つのバルブをつけた楽器も存在しており、1827年には息の通り道を長くするためのピストンが発明されるなど、現代のトランペットの機構が次々に生まれていきます。

やがて1839年には、現在の形に近いトランペットが発明され、以降は改良開発されていき現在のトランペットへと近づいていくことになります。

トランペットを吹いてみよう!

トランペットにあまり馴染みのない方も多いかもしれませんが、楽器としては聴く機会はありますし、トランペットならではの楽しさもあります。

楽曲中ではソロパートが多いのも特徴なように、トランペットならではのメロディは美しく気高く、なにより目立ちます。

高額なイメージがあるかもしれませんが、入門セットであれば2万円ほどで購入もできます。

トランペットに興味を持った方は手にとってみてはいかがでしょうか。